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コラム 人と経営

中小企業のグローバル化 No.1

1.アジアの活況を支えている日系企業

タイの経済が活況だ。自動車産業を中心に設備投資が続いている。工業団地が、バンコクから離れ南下している。タイのラッシュは有名だ。車の洪水である。国内の自動車販売台数が年間70万台、生産台数は100万台の大台を超えた。

何故、タイが日系企業に好まれているのか?ASEANの他の国々と比べると投資先としての魅力が多い。タイ政府は大規模な工業団地を積極的につくり、電力の供給や通信、高速道路などのインフラを整備してきた。

そして、何よりも他国との違いは、会社を経営していく上での法整備が整っていることだろう。税制がある程度透明で、各種認可手続きの煩雑さは少なく、外資規制、為替規制、輸入規制などの障壁も低い。

2.タイへの投資はまだまだ続く

1980年代、中小企業の国際化が叫ばれた。特に、1985年のプラザ合意を契機に円高を日本の企業が襲った後、大企業は安価な労働力を求め、アジアに製造拠点を移した。その先兵は、タイやシンガポール、インドネシアであった。

大手の製造業がアジアへ進出すると、その数年後、下請けや孫請けの部品製造業が大手の誘いに乗って出て行ったのが第一次投資ブームである。当初タイには繊維関係の企業が進出、その後、食品、電機、自動車とありとあらゆる産業が投資を行っている。

2004年のタイへの投資件数が1268件、その内日系企業は340件にのぼる。
国別では当然1位で、シンガポールの81件を大きく引き離す。安価な労働力では、中国やベトナムにかなわないが、安定したものづくりの拠点としては最適な国であろう。

3.タイ進出19年の中小製造業

大阪で産声を上げた中小企業が1980年代に大挙してタイへと進出を果たした。その多くは繊維関係の企業であったが、撤退もしくは、タイの工場を閉鎖し中国やベトナムへと移転した。みんながバラ色ではない。

とりわけ、タイを中心にアジアに波及した通貨危機は、倒産や縮小、撤退を余儀なくされた。しかし、産業機械の某中小メーカーは、そんな時も、自社が得意とする機械ではなく、生き残りの為本国では生産しない機械をつくって堪え忍んだ。

そのメーカーはタイ進出19年を経ている。他社が追いつけるものではないノウハウと人材が育っている。中小企業のグローバル化は人材が支えている。優秀な人材が全てであると言っても過言ではないだろう。
(Written by 川下行三 05/09/15)
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