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コラム 人と経営

中小企業のグローバル化 No.2

1.焦りすぎたヤオハン

中堅流通業でアジア各国に進出し成功した企業としてはヤオハンが有名だ。平成3年にはタイに進出を果たし、その後の中国展開にかける和田会長の意気込みは凄まじいものであった。

しかし、あまりの拡大戦略が足を引っ張り倒産したのは平成9年のこと。
海外店舗への投資回収がままならず、数十億円の転換社債償還が出来ず主要店舗をダイエーに切り売りし、階段を転げ落ちた。

会社更生法を申請しジャスコが支援、平成14年に更生手続きを終了。
平成16年7月にはマックスバリュ東海として東証二部に再上場を果たした。倒産後、食品スーパーとして立派に再建をやってのけた。

2.アジアの流通業を見る

当時ヤオハンはシンガポールでも、タイでも現地の人々を対象にしていた。しかし同じ流通業でも伊勢丹は、現地駐在の外人、現地の裕福な層に絞った商いを展開している。明らかに対象顧客が違う。

日本を撤退したカルフールがアジア各国では、現地に根付き成功している。日本流で言うと生鮮食品を含んだ総合スーパー、いわゆるスーパーセンターと称する業態である。

近隣の住民が車で来店し、買い物かごを一杯にしてレジに並ぶ。近くに進出しているジャスコは客がまばらで閑散としている。日本でも元気のない大手量販店がそこにはある。

3.成功の法則はシンプル

流通業はドメスティック(国内向けの)な業態である。どの国に進出をしようが現地の人々に受け入れられない限り成功はない。製造業のようにアジアで組立加工をし、米国に、欧州に、日本に販売するというものではない。

国内の人々が買ってくれないと商売は成り立たない。日本から大手コンビニがアジアに進出。ファミリーマートは韓国や台湾で成功している。
タイではセブンイレブンが頑張っている。店舗から半径3キロに住んでいる人々が顧客の大半を占める。これは日本と変わらない。

ヤオハンはシンガポールを始め、現地化に成功していた。しかし、投資回収に時間がかかり、本体が持たなかった。中小企業には資金と人材に余裕がない。製造業でも同じ。倒産、撤退した中小企業に共通している。

投資する資金はどこから調達するのか、回収にどれ位かかるのか、軌道に乗る期間は、トラブルは何が想定されるか、進出先の事前調査は充分か、しっかりとした分析を行いシナリオ持っている企業は極めて少ない。
(Written by 川下行三 05/09/30)
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