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コラム 人と経営

変化のスピードに追いつけない人と企業

1.シャープが危ない

シャープの赤字が止まらない。台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との資本提携の話には驚いたが、それから数ヶ月、最終的な合意には至っていない。株価の下落が続き、再建へのシナリオが崩れかねない。

液晶のシャープと呼ばれ、亀山工場が建設されたのが2002年、あれから10年。もうテレビの液晶は作らず、中小型液晶パネルの製造に特化。アップルの部品工場に成り下がり、その工場さえも売却話が浮上している。

家電ではパナソニックの後塵を拝し、AV家電でもソニーに負け、唯一液晶テレビが他社に勝っている分野であった。液晶は部品としての供給も有り、2007年3月期1700億円強の経常利益を稼ぎ出した。

2.家電量販店が数社に絞られる

ヤマダ電機が九州地盤のベスト電器を7月に子会社化すると発表。6月には、ビックカメラがコジマを子会社化。家電量販店業界の再編が急激に進んでいる。

昨年のエコポイントや地デジ特需が終わり、急速に販売が落ち込んでいる。25%以上の売り上げ減少に陥っている販売店も有り、赤字転落は時間の問題だ。家電メーカーが厳しいことはこのことからも想像がつく。

それに加え、アマゾンを含めインターネット販売が常態化。価格比較サイトに登録をしている家電量販店も増えてきた。しかし、インターネット販売に力を入れている量販店でも自社の売上げの僅か数パーセントだ。

3.変化のスピードに追いつくには

消費者の購買行動が大きく変化している。「ネットで調べ、ネットで比較し、ネットで買う」。ここには、小売店の商機はない。しかし、「ネットで調べ、店舗で触り、ネットで買う」。このモデルには商機がある。

値引き等の価格裁量権が有り、商品知識に長けた販売員が要る事が量販店生き残りの条件になる。メーカーで有れば現地情報(ユーザーニーズ)を知り、それを素早く商品開発に活かせるスピードを有する組織。

残念ながら、日本の大企業よりも韓国や台湾企業がそのスピードを持っている。現場に権限を渡すか、それとも中小企業のようにトップダウンで、素早い意志決定と行動がとれるか。時間が勝負を決める。
(Written by 川下行三 12/08/23)
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