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コラム 人と経営

変化のスピードに追いつけない人と企業 No.2

1.パナソニックが危ない

2013年3月期、パナソニックの連結決算予想が7,650億円の赤字。前期も7,721億円の赤字。同期予想で、7兆円を超える売上げを上げながら本業の儲けを示す営業利益は1,400億円と少ない。

要因は、薄型テレビ、携帯電話、デジタルカメラの低迷が大きい。しかし、同社の構造が問題だろう。三洋電機の買収や携帯電話のグループ会社の子会社化によるテコ入れも収益に貢献していない。

一方、サムスン電子は、この第3四半期(7-9月)で売上げ約3.6兆円。
営業利益は5,500億円で過去最高の予想が出ている。「GALAXY S III」等のスマートフォンが好調で利益を押し上げている。

2.現れていないリストラ効果

パナソニックの決算予想が発表される直前、某研究会で同社の中堅社員がシャープ経営陣の決断力の無さを指摘した。シャープが2007年の絶頂期から僅か4-5年で転がり落ちたことを理由に。

液晶事業の変化を読み切れなかったシャープの経営判断が原因であろうが、パナソニックの根はもっと深い。白物家電では利益を稼げているが、他事業の利益は僅かだ。図体が大きくなって動きが鈍い。

危機感の無さはシャープ、パナソニックに共通している。何度かのリストラを経験しているパナソニック。そのリストラ(構造改革)が、市場の変化に追いついていない。

3.東高西低

エレクトロニクスは、戦後、松下電器、三洋電機、シャープなどの関西の企業が市場を引っ張って来た。しかし、三洋電機はパナソニックに買収され、数千億円の赤字を出し続けるシャープ、パナソニック。

東の日立製作所は中国景気の影響を受け厳しいが2013年3月期の連結業績予想は、売上高9兆円、営業利益は4,800億円。東芝は売上高6兆1000億円営業利益2600億円の見通しと、両社とも収益を前期よりアップしている。

日立製作所は2008年のリーマンショック後、ハードディスクやテレビ事業から撤退。流行に左右されないインフラ事業(鉄道や発電他)へとシフトしてきた。東芝も火力発電設備や原子力発電設備が牽引役だ。

東芝、日立は重電。サムスンは、関西の企業が強かった弱電分野で稼ぐ。
グローバルの変化、市場の変化に素早い対応が出来るかが鍵を握る。
(Written by 川下行三 12/11/12)
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