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コラム 人と経営

中南米の可能性

1.アジアから中南米へ

8月20日から始まったアジア株式市場の全面安。アメリカの量的金融緩和の規模が9月にも縮小されるとの観測が背景にある。リスクが高いアジアの新興国から資金を引き上げる動きが加速している。

アジアが世界経済を牽引するには、まだ少し時間がかかる。潜在的な可能性として、今、アフリカが注目をされているが、政治的な不安を掲げた国が多く、経済成長の波に乗るには時間がかかる。

そうした中で最大市場の米国に近く、生産拠点または市場として魅力的な地域が中南米である。中米メキシコから南米の南端チリまでの33カ国の独立国を総称して中南米またはラテンアメリカと呼ばれている。

2.中南米のマーケット

中南米には、GDP世界6位のブラジル、14位のメキシコを含み約6億人に迫る人口を抱える。
ブラジルは英国やロシアより、メキシコは韓国よりもGDPが大きい。

例えば、メキシコでは日産を始めホンダ、マツダと同国への投資を矢継ぎ早に発表、自動車産業の成長は著しい。メキシコの自動車生産台数は、世界9位。ブラジルは世界6位と健闘している。

中南米にいち早く進出し、市場を形成しているのは米国のグローバル企業だ。食品ではコカコーラ、流通ではウォルマート、ITではヒューレット・パッカードなどがある。

3.メキシコの優位性

メキシコ経済は3つの意味からグローバル経済での優位性がある。1つは、日本と同等の人口を有し、平均年齢が若く、今後も人口の増加が続き市場の成長性を期待できる。

2つ目は、ブラジルやアルゼンチンなどを中心とした大市場南米への中継地となっている。
3つ目は、米国経済と結びつき、自動車産業、航空機産業の集積地として、海外資本の進出が続いている。

そして、ブラジルなどに比べると賃金の上昇率は低い。しかし、消費に目を向けると安価な店は流行るが、高価なブランド品などの購入者は極端に少ない。国民が本当の豊かさを享受するには、まだ十数年はかかる。

中南米の国々は、治安問題など大きな課題が残る。一人あたりGDPが増えれば個人所得の増加に繋がる、経済の発展が治安回復への近道だろう。
(Written by 川下行三 13/08/23)
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