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コラム 人と経営

アジアの成長は中国からインドへ

1.成長続くインド

ある中堅製造企業の経営者は、「アジアの取引先で元気な企業にインドの会社が多い」。インドのGDP成長率は7%~8%。中国は6~7%。インドの現人口は13億人だが、2050年には16億人を超え、世界一となる。

インドの人口構成は、ピラミッド型で若年層が多い。すなわち、働き手が豊富で生産拠点として海外からの製造業の投資が増えている。そして、何よりもインド国内市場は大きな伸びを期待出来る。

大きな商業施設のショッピングモールは、デリー近郊だけでも幾つも有り、高額商品が売れていく。一人当たりGDPは2,000ドルと低いが、所得の高い30,000ドル以上の層も2030年には人口の25%を占める。

2.インドの実情

牛がデリー中心部の道路を横切る。犬が至るところに寝そべる。ゴミが散乱し、貧民街やその近くのマーケットは治安が悪い。そんな国だが、2050年には日本とドイツのGDPを抜き、世界3位になる。

合弁で進出している日系企業の経営幹部は、「合弁先のインド人経営幹部やビジネスマンは優秀だ」。また、「余暇は別にして、仕事はしやすい」と太鼓判を押す。

某貿易コンサルタントは、「日系では自動車関連企業の進出が目立つ」。インドで一番自動車を生産し販売している「MS社」(日系企業とインド企業の合弁会社)は、年間170万台を製造販売する。

3.中国対インド

トヨタの日本国内での2018年度販売実績は、国内シェアは43%と断トツだが年間150万台を切る。MS社のインドでのシェアは43%。少子化の日本と世界一の人口になるインドでの伸びは、比較にならない。

1980年代までは、中国もインドも一人当たりGDPは200ドルと貧しい国であった。中国はその後、改革開放路線を掲げ急成長を続け、世界2位のGDPを誇る超大国となった。

格差を切り捨てた中国とは違い、緩やかに成長をするインド。低所得層にも配慮しながらゆっくりと歩く。
うさぎとカメの寓話を想い出す。

貿易コンサルタントは、「まだまだ成長する大きな市場が存在する、今からでも遅くない」。日系企業の進出を促す。
(Written by 川下行三 19/03/31)
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