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コラム 人と経営

自然災害と事業継続

1.大きな災害は近づいている

サービス業の回復が目覚ましい。特に、飲食業はコロナ前の売上げに迫る。株式市場もバブル期以降最高値を更新。しかし、日本には今後30年以内にいくつも巨大地震が発生すると予測されている。

特に、関東から九州エリアを想定する南海トラフ地震、首都圏直撃の首都直下地震の発生確率が70%(30年以内)と驚きの数字だ。地震以外にも洪水、台風などの自然災害は頻繁に発生している。

損害保険大手のS社は、最大72時間先のリスクを管理するシステムを自治体や企業に販売した。豪雨・強風の発生地域や自社の拠点がある地域の危険度合いといった複数の予測情報を一元化して見られるようにする。

2.災害による倒産

東日本大震災が発生した2011年3月~2021年2月までの10年、震災が倒産の直接または間接的な要因となった東日本大震災関連倒産は累計2061件負債総額は1兆7143億円に及ぶ(帝国データバンク、2021年3月)。

新型コロナ関連の倒産として、東証1部に上場していたアパレルの名門レナウン。ダーバンなどの有名ブランドを展開していたが、コロナにより客足が減少、売上げ低下などによる資金繰り悪化で、2020年5月倒産。

新型コロナウイルス関連倒産は全国に6050件と同じく帝国データバンクが発表(2023年6月21日現在)。一方、国のコロナ補助金、時短協力金併せて374億円を外食大手ゼンショーは2021年に利益として計上。

3.事業を継続するために

事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)は、組織や企業が災害に備え、事業活動を中断させずに続けるための指針。災害発生時の危機管理や復旧手順、通信手段、代替施設の確保などを考慮して策定する。

災害が発生した場合でも企業が事業活動を持続するための計画などを策定し事業を継続することが重要だが、多くの中小企業では手を付けられていない。この事業継続計画を策定している中小企業は僅か15%だ。

例えば、自然災害のリスクを評価し予防策を講じる。地震対策として建物の耐震補強や、洪水対策として適切な排水システムを整備する。定期的なデータのバックアップ、保管場所を遠隔化する。

2011年7月に発生したタイ洪水、5ヶ月以上に渡って続いた洪水でホンダを初め日本企業の工場が被災。数ヶ月にわたって操業が停止、サプライチェーンが寸断。世界に大きな影響を及ぼしたことを思い出すべきだ。
(Written by 川下行三 23/06/25)
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